今から約10年前、ブライダル司会のレッスン生だった頃の話。
自分の声を録音して聞くというレッスンでは、みんな揃って「自分の声、聞きたくないです~」と嫌がっていた。
すると、当時の先生が一言。
「それを毎回聞かされてる私はどうなるのよ。」
ハッとした。
自分が嫌だと思う声を、先生はいつも聞いてくださっているんだ。
「自分の声が嫌い」。
あがり症の人に限らず、こういう人は多いものです。
まるで別人のように聞こえるから?
現実を知りたくないから?
そもそも、なぜ思っているのと違う声に聞こえるのでしょうか。
普段聞いている自分の声は、一度空気中に出されて鼓膜を通して聞こえてくる声と、自分の体を通る、つまり骨伝導により伝わった声との、両方を聞いています。
他人が聞いている声は空気中を伝わった声のみなので、違って聞こえるのです。
周りみんなが知っているのに、自分だけ知らない、自分の声。
かえってコワイことだと思いませんか?
「自分の声が嫌いだから聞かない」では、いつまでたっても自信を持つことができません。
「変な声」と感じる自分の声は、普段他人が聞いているあなたの声。
嫌がらず、ちゃんと知ってあげましょう。
ちなみに私は、留守番電話に用件を録音したときは、必ず#を押して、聞き直します。
きちんと録音されているか、用件は聞き取りにくくないかを確認するためと、自分の声をチェックするいい機会だからです。
そして、今でも人前で話すときは、しゃべっている姿を録画して、全体をチェックしてから本番に臨みます。
私の教室でも、受講生の方のスピーチを録画し、見ていただくことがありますが、もれなくおっしゃるのが、「本当ですね!あがっているようには見えないですね!」
それもそのはず、あがりの症状は体の中で起こっていることなので、他人にはそれほどわかりません。
隣の席の人の体温や心拍数が上がったところで、あなただって気づかないですよね。
自分が重度だと思い込んでいたことが、実は自意識過剰だったということに気づくでしょう。
それよりも、姿勢や手の位置、おじぎの仕方などが目に飛び込んできます。
声は、震えよりも大きさや速さ、抑揚が気になると思います。
そういった悪い癖を知らないでいたのは、自分だけなのです。
でも、落ち込む必要はありません。良くないところがあったら治せばいいのです。
“見るのは一時の恥、見ないのは一生の恥。“
確かに自分のしゃべる姿を直視するのは恥ずかしいです。
でも、見ざる聞かざるは一生恥ずかしい。
人前で自信を持って話すためにも、自分の声や姿をちゃんと知ってあげて、好きになってあげましょう!
from:鳥谷朝代