あきらめていたあがり症克服
初めて会ったのに懐かしく思える人がいます。
私にとってそれは例えば、講座でお会いする方たちです。
過去に負った心の傷。痛み。
今もなおそれを抱え続けて生きている人たち。
これまでずっと誰にも言えず大切に抱えてきたその思いは、
あまたの本や歌の登場人物に重ねることくらいでしか自分の居場所を確認することができなくて
リアルで自分に変化を起こすことなどなく人生のやりくりをしてきました。
生きていくことに意味がないというわけではないけれど
自分がやりたいことをやっているわけでもなく
“奴隷“のように思えてしまうときもあれば、でも本当の奴隷ではなくて
楽しいと思える瞬間もないわけでなくて
耐えて、耐えて、耐えたあとに楽しみもふとおとずれて
でもまた耐える日々が続き、
自分の人生を捨てるほどこの世の中をはかなくみているわけでもなくて
「こういうもの」って大人しい人になって生きてきました。
逃げられるものからは、ひたすら逃げて。
隠れる場所も知っているから、危険なときは身を潜めて。
人前にでる場面さえなければ、
どんなにか自由で爽快な人生だろう・・・
逃げるしか手がないと思っていた中で
あるとき何かの拍子で光が見えました。
「あがり症克服協会」
今まで自分だけが抱えていたと思っていた悩み。
あがり症。
自分が世界一と思っていたほどの。
本やHPを見るとまるで自分のことのように体験談がたくさん載っています。
「もしかして・・・ここだったら根本的に解決できるかも知れない。
あがり症克服・・・パラダイス・・・」
あきらめなかった人たちがかすかな希望を持つ瞬間です。
希望を持ち、行動を起こし、教室で同じ悩みを持つ仲間と出会います。
そして、心を開くそのとき。
「こどもの頃からずっと人前が怖くて。
人見知りで友達もたくさん作れなくて。
大人になってからも生きづらくて。」
たったこれだけの会話。
この会話をきっかけに、それまで止まっていたことが大きく動き出します。
まるでずっと前から知っていたかのように。
心を許し、許されて、
誰にも言えなかったことを誰かに言えて、
お互い共感することができて、
安堵の気持ちから心が浄化されていきます。
どこか懐かしい感覚になります。
懐かしさは、同じことを同じように感じる安心感から。
話すだけで苦しみから解放されて涙を流される方もいらっしゃいます。
これを心理学用語で「カタルシス」といいます。
モヤモヤが解消されてスッキリすること。
多かれ少なかれ、教室ではこのような方がいらっしゃいます。
生きづらさとは
自分を隠している世界だと思うのです。
ただ、伝えたいのはこの専門用語ではありません。
あがり症や対人恐怖症を隠し続ける日々にさよなら
「もういいかい」
「まあだだよ」
「もういいかい」
「・・・」
「もういいかい?」
「・・・」
かくれんぼの途中で家に帰ることを
『かえりんぼ』と名づけることにします。
私はこの『かえりんぼ』が得意でした。
人生のかくれんぼで。
いつまでも出てこなくて、
探しても探しても
夕方になっても、日が落ちても。
オニが何人いようとも絶対に見つからない。
あきらめてみんなが帰って
誰もいなくなったときにようやく出てくる。
家に帰っているんだから別に出てこなくてもいいんだけど
外の様子は気になって仕方がない。
毎日毎日そうやって上手に隠れていたのに、
あるとき見つかってしまいました。
「よく、ここの隠れ場所分かったね。」
「私も隠れるのは上手だったから。
家に帰ってしまえば見つからないからね。
でも、ズルいよね。」
隠れるのが上手な人は、見つけるのも上手です。
隠れる人の気持ちが分かるからです。
私もずっと隠れる方でしたが、オニになりました。
あがり症であることを隠していたから分かること
私も上手に隠れるプロフェッショナルでしたので
たいがいの隠れ場所は見つけることができます。
そこに隠れていてどんな気持ちなのかも分かります。
見つかりたくないけど、見つけてほしい。
本当は、隠れ場所を分かってほしい。
分かってくれる人がほしい。
見つかって表で堂々としてみたい。
でもやっぱり、見つかるのは怖い。
その怖さから、無理なく少しずつ抜け出していくためのきっかけを
私はあがり症克服協会で見つけました。
実は堂々とキラキラと生きていける世界はそう遠くにはありません。
見つけるのに多くのお金や時間を必要とするものでもありません。
日常生活の小さな習慣・心がけでその世界をグッと近づけることができます。
『かえりんぼ』さえしなければ。
勇気を出して、
自分を隠している世界からの脱出。
それはつまり自己開示、あけっぴろげに自分を表現すること。
自分からオニに見つかりにいけば、
たくさんの“懐かしい人“に出会うことも出来るでしょう。
それがみなさんにとっての勇気となります。
“懐かしい人“にとってみたら、みなさんが勇気です。
初めてのあがり症カミングアウト~克服へ
あがり症克服協会ベーシックコース(初級)の中で
「あがり体験を振り返る」というワークがあります。
初めてベーシックコースに参加したときこの話をして
自分では弱点、消したい過去と思っていたことが
ここでは他の人の勇気に変わりました。
私の話した過去のあがり症体験
- 高一のとき、国語の本読み
- 高一のとき、クラスから転校する人への送る言葉
- 高二のとき、理科の実験
- 大学のとき、英語の本読み
- 大学のとき、黒板に回答を書くとき
- 社会人で、朝礼のとき
- 社会人で、ピアノの練習や発表会のとき
- 社会人で、上司への報告のとき
- 社会人で、ホワイトボードに文字を書くとき
- 社会人で、ジェンガで遊んだとき
- 社会人で、友人の結婚祝賀会であいさつしたとき
多くの人もまた、こんなに苦しいのは自分だけだと悩んでいるのです。
ベーシックコース(初級)でお会いした“あがり症“の仲間たち。
- 講師を紹介するときに声や体が震える人
- 飲み会でいきなりあいさつ振られてしどろもどろになった人
- 会議では声が小さくなり、手も震えてしまう人
- 娘さんの結婚式でバージンロードを歩く時も薬飲んでいて全く覚えていない人
- プロジェクトマネージャになったけど人前が苦手な人
- 自己紹介で名前を言うだけなのにドキドキしてしまう人
- こどもの幼稚園受験の面接のために苦手な面接を克服するために
- 学生で人前でスピーチするときにはどうしてもあがってしまう人
- 幼稚園の先生で保護者など大人を前にするとあがってしまう人
- 結婚式の乾杯のあいさつが予定されているものの苦手な人
- 会社の朝礼がひどく苦手な人
- PTAの会合で話さなければならない立場で逃げられない人
- ゴルフ優勝時のあいさつで失敗してしまった人
- 高校に入った時のあいさつをあがらずに話したい女子中学生
あれから1年以上たちましたが、いまでも覚えています。
不安な夜には、そんなみなさんの顔を思い出して勇気をもらっていました。
あがり症克服協会の講師になって思うこと
そのあと参加した講座で私は何人の“懐かしい人“と出会ったのでしょう。
数えられないくらいですが、
いまではそれは当たり前になりました。
自分を表現できる世界が当たり前になったのです。
生きづらかったあのころ。
改めて思います。
生きづらさは自分を隠している世界だと。
今は・・・?
人前にでる場面があるから、
こんなにも自由で爽快な人生がやってきました。
夢にまで見たあがり症克服、パラダイスです。
私でもたどりつけることを証明できました。
ところでかくれんぼの話。
私はオニ中のオニである鳥谷理事長に見つかったわけですが、
本当にオニです。
どっからどう見てもオニです。
生徒のみなさんからは女神と称されることもありますが
私からすればオニ以外の何者でもありません。
念を押しておきますが、
これは誉め言葉です。