【あがり対処法~緊張を緩和するスピーチ】

2017.12.13

■睡眠導入剤

電車の座席で疲れてウトウトしていたらどこからか女の人のハミングが聞こえてきました。
きらきらぼしのハミングです。
電車に揺られてそのまま目を閉じて聞いていたらとても気持ちよくなり
まるで1日の疲れが癒されていくようでした。
睡眠への誘い。
ウトウトからウットリへ・・・

「きらきらひかる
 おそらのほしよ
 まばたきしては
 みんなをみてる」

 みんなをみてる・・・

はっ!
私は思い出してしまったのです。
明日、順番でスピーチがあることを・・・。

■緊張しやすいスピーチ・緊張しにくいスピーチ

さて今回は、そんなかつての私にも教えてあげたい、
緊張しやすいスピーチ・緊張しにくいスピーチについてのお話です。

実は、スピーチの組み立て方で緊張しやすい、しにくいがあります。
すなわち、スピーチの組み立て方次第であがりを抑えることが出来るのです。
今回はその方法をお伝えしますので、
ぜひ今後のあがり対処法として参考にしてみてください。

~理論編~

まず、すこーしだけ理屈のお勉強です。

アメリカの社会心理学者のFestingerによると
コミュニケーションには2つの側面があると指摘されています。
1.道具的コミュニケーション
2.自己充足的コミュニケーション

「道具的コミュニケーション」とは相手に何かして欲しいというような
目的達成の手段、情報のやり取りとしてのコミュニケーションです。
例:「このドラマ録画しておいて」「あとでメールしてね」

「自己充足的コミュニケーション」とは特に目的はなく、
話すこと自体で満足するコミュニケーションです。
例:「おはよう」「寒くなってきたね」

どちらも必要で場面に応じて使い分けるバランスが大切ですが
「道具的コミュニケーション」には目的に向かって邁進させる力が、
「自己充足的コミュニケーション」には緊張を緩和させる力が特徴としてあります。
特に自分の感情を表現する「自己充足的コミュニケーション」は緊張緩和の効果が高いです。
この感情を表現する「自己充足的コミュニケーション」をスピーチに盛り込んでいきます。

~実践編~

例えばこういうスピーチがあったとします。

「本日よりこちらに配属になりました○○です。
 私は2010年に入社し、今までの部署では開発を担当しておりました。
 こちらではヘルプデスクの仕事を担当させていただくと伺っております。
 初めてなのでご迷惑をおかけすることもあると思いますが、
 ご指導の程、どうぞよろしくお願いいたします。」

ごくごく普通のスピーチですが、どうでしょう?
自己紹介自体が大きくとらえると「自己充足的コミュニケーション」と言えますが
まだまだかしこまった雰囲気(すなわち緊張感)が感じられるのではないでしょうか。

これに、挨拶や自分の感情を表す「自己充足的コミュニケーション」を足してみます。

太字が追加した「自己充足的コミュニケーション」です。

みなさん、おはようございます!(←挨拶)
 本日よりこちらに配属になりました○○です。
 緊張していましたがみなさまに笑顔で迎えられて少しホッとしました。(←感情)
 私は2010年に入社し、今までの部署では開発を担当しておりました。
 こちらではヘルプデスクの仕事を担当させていただくと伺っております。
 人と話すことが好きなのでみなさんとこの仕事ができることを楽しみにしています。(←感情)
 初めてなのでご迷惑をおかけすることもあると思いますが、
 ご指導の程、どうぞよろしくお願いいたします。」

いかがでしょうか。
先ほどのスピーチより、聞く方も緊張感が緩和し親近感を感じませんか。
話しかけられているような感覚があり、不安な気持ちを吐露するスピーカーに優しい気持ちにもなりますよね。
自分の感情を表す「自己充足的コミュニケーション」のところでは、
聞き手もリアクションがしやすい・頷きやすいという効果もあります。
頷いて好意的に聞いてくれている人を見つけると、一気に安心しますよね。
話し手の緊張も和らぎます。
これが「自己充足的コミュニケーション」の効果です。
聞き手の緊張を緩和することで自分の緊張を緩和することにもつながるのです。

ただし!ここで注意して欲しいのは、
上手いスピーチを組み立てようとして
決して、思ってもいない取り繕った言葉を入れたりしないことです。
自分の思いを言葉に出すから楽になる(緊張緩和する)のであって
気持ちが乗っていない言葉を発しても、それは相手に伝わらず、
かえってあがりに繋がってきます。
それは深層心理で自分の気持ちを隠そうとしているからです。
少しくらい不器用な表現でも自分の気持ちを表現してそれが相手に伝われば
もう100点満点だと思います。

とはいえ、いつも緊張している場面でいきなりオープンマイハートするのも
ハードルが高いと感じる方もいると思います。
そんな方には、あがり症克服協会の講座やワークショップがお勧めです。
講師も(全員元あがり症)会員の方もあがり症の苦しみが痛いほど分かる方ばかりなので
とても好意的に話を聞いてもらえて、それが徐々に成功体験として自信に繋がっていきます。

■超絶スピーチ

それでは、ここでひとつクイズです。
次の警察官Aと警察官B。
どちらが「自己充足的コミュニケーション」を効果的に使っているでしょうか。

警察官A
「信号赤!早く歩道に戻りなさい!
 速やかに横断してください!肩車をやめなさい!
 こら、人を押さない!
 そこは立ち入り規制!速やかに立ち退きなさい!
 交通ルールを守りなさい!」

警察官B
「皆さんがそのように交通ルールを無視していると、
 おまわりさんからイエローカードが出るかもしれません。
 皆さんが憎くてこういうことをやっているわけではありません。
 心の中では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです。
 どうか皆さん、おまわりさんの言うことを聞いてください。」

正解は、もうお解かりですね。

警察官Bはかの有名なDJポリスの言葉です。
渋谷スクランブル交差点で興奮状態の群衆に対し
緊張を緩和しユーモアのある巧みなスピーチで誘導して
負傷者、逮捕者ゼロを導きました。

「自己充足的コミュニケーション」をちりばめることで
緊張緩和どころか「道具的コミュニケーション」以上に人を動かすという
超絶スピーチでした。
お巡りさん自身も思いが伝わり誘導できたことで
話すたびに落ち着いていったことでしょう。

ちなみに警察官Aは「道具的コミュニケーション」オンリーです。
これでは興奮状態の群衆に対してなかなか収集がつかなかったかも知れませんね。

■言葉のないスピーチ

さて、冒頭のきらきらぼし。

ハミングには言葉がありません。
しかし緊張緩和どころかヒーリング効果をもたらしました。

なぜ緊張緩和したのか、言葉がないので「道具的」「自己充足的」の理屈では説明しきれません。
それは、言葉だけでなく、イントネーションや音階・声色。
これらもまた緊張緩和やあがりを抑えることにつながる重要な要因だからなのでしょう。
それはまた別の機会に考察してみたいと思います。

最後に。
きらきらぼしには続きがありました。

「きらきらひかる
 おそらのほしよ
 みんなのうたが
 とどくといいな」

みんなのうたが、みんなのこえが、みんなのおもいが
あがり症を乗り越えて、とどくといいな。
そんなことを心から願っています。

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